第10回国際ゲノム会議
学術総合センター 一橋講堂
2007年にワトソン博士個人のゲノム配列が公開されるという衝撃的なニュースがながれてから、すでに5年以上の歳月が経ちました。次世代シークエンサーの威力を示す最初の号砲となった事件です。この5年間に、次世代シークエンサーの能力は、半導体のムーアの法則をも凌駕する猛烈なスピードで向上し、今では、100人の個人ゲノム配列を決定すると言っても、だれも驚かなくなっています。1000ドルでヒトゲノム配列を決めることができる能力を謳う製品もついに発売されるに至りました。
このような技術革新を背景に、ゲノム科学は新しいビッグデータの時代に突入しております。もともとゲノム科学は、大量データ取得とその解析により、様々な生命現象の実体にせまる新しい研究パラダイムとして生まれました。そして、ゲノムプロジェクトを契機として生み出された、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームなどのオミックス解析と、SNPを利用したGWAS解析を中核として発展してきました。今や、次世代シークエンサーの進歩を受け、ゲノム科学は、ヒトゲノムプロジェクトを彷彿とさせる配列決定を基盤としたビックデータに基づくサイエンスに進化しつつあります。
このような進化は、まず医学研究で顕著であり、多数の患者サンプルのゲノム解析を基盤としたプロジェクトが進行しており、疾患の発症・進展メカニズムの解明を通じて、システマティックに創薬ターゲットの発見や個別化医療の実現に迫ろうとしてきています。また、このトレンドは、医療・創薬のみならず、微生物や動植物のゲノム解析を通じて、エネルギー、環境、農業など、幅広い分野に大きな影響を与えつつあります。

この現状を受けて、「ゲノムルネサンス」をテーマに、医学を中心に今まさに急激に発展しつつあるゲノム科学の最新の成果を知り、次世代シークエンサーなどの新技術の今後の展開を展望することを目的とした第10回「国際ゲノム会議」を2013年5月21,22,23日に学術総合センター、一橋記念講堂で開催する運びとなりました。

ゲノム科学は今や、ゲノム研究者に限られたものではなく、医学、生物学、薬学、農学、情報学、工学の幅広い分野に関わっており、また、医学・薬学・農学・情報学関係の幅広い企業の方にも、無視し得ないものになっています。本シンポジウムに幅広い分野の方がたのご参加を期待する次第です。

第10回国際ゲノム会議組織委員会
名誉委員長    榊 佳之
組織委員長    菅野 純夫
プログラム委員長 油谷 浩幸
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